EAST TERRACE
フラットな構造体が生み出すフレキシブルな空間
敷地は、三方が建物に囲まれ、東側にのみ開いている。そこで、建物を西側へ控え、東側にオープンスペースを配置することで、各住戸とも東側より外部環境との結びつきを求める計画としている。
各住戸は間口3.75m・奥行11.6mの筒状の空間である。奥行に対して間口が狭い印象を持つ。この細長い一方向性の空間に開放感を与えるには、室内に極力陰影を落とさないフラットな構造体が相応しいと考え、板状の壁柱と床梁で骨組を構成する鉄筋コンクリート造のプレートラーメン構造を採用した。
この構造は室内に柱型・梁型による凹凸が現れないため、内部空間いっぱいに外部環境を吸い込むことができる。もちろん過剰な外部環境の侵入は望まれないが、それにはこの建物の表情でもあるルーバーを纏った階段室がバッファとして機能する。また、凹凸の少ない空間は、限られた居住スペースを効率的に活用することを可能とし、様々な住み手の多様な生活スタイルに順応性を発揮することであろう。
板状の構造体で構成したこの潔い骨組は、透明性のある自由な空間を実現するとともに、建物が永く生き続けるために必要なフレキシビリティを提供している。
■ 設計
建築:芦澤竜一建築設計事務所 / 設備:エマ設計事務所
■ 施工
積水ハウス・三日月建設
■ 構造概要
所在地:兵庫県西宮市
主用途:共同住宅
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上3階
建築面積:185.16m²
延床面積:416m²
竣工年月:2008年9月
- 2009-05-28